テーマ別経営ノウハウ23

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お客様の心をつかむ販売力の強化法
5.卸の販路政策 
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今回は卸の流通政策の課題について説明をします。
 

【卸売業の役割】

近年はIT革命をはじめとする環境の激変により、卸売業者がおかれてい
る立場は厳しいものとなっています。しかし、取引における卸売業者の機
能は、以下の2つの観点から、なくてはならないものです。


1.不確実性プールの原理

卸売業の需給調整機能を説明する原理です。


小売業者は、消費者の需要量だけを在庫とすることが望ましいのですが、
実際には、消費者がどの小売業で、どの時期にどれだけの数量を購入
するかを予測するのは不可能です。


このような場合、個別の小売業ごとに消費者の需要量の変動を見越した
在庫を持つのではなく、卸売業が中間在庫を持つことができれば、地域
間の変動や時間的な変動に対応できます。


不確実性プールの原理によって、需要の不確実性の影響を軽減でき、
小売業の在庫コストや輸送コストの節約が可能になります。


2.取引数量最小化の原理

メーカーの企業数がM、小売業の企業数がRあった場合、メーカーと小売
業が直接取引きをすれば取引の数量はM×Rになります。


しかし、卸売業が仲介することにより、取引の数量はM+Rと最小化でき
ます。


例えば、メーカーが2社、小売業が5社の場合、卸売業が存在しないと取
引の数量は、2×5=10回になります。しかし、卸売業の仲介があれば
2+5=7回と少なくなります。


このように、取引数量を少なくすることで、輸送経路の減少による物流コス
トの軽減が可能になります。


【卸の流通政策の課題】

このように、卸売業は取引の簡素化にとってなくてはならない存在なので
すが、卸が介在することにより流通コストが高騰するため、メーカーや小売
業には、卸を介した流通政策では昨今の厳しい価格競争に勝ち残れなく
なるという危惧感があります。


そのために、卸売業無用論などの議論も出ています。


しかも昨今は、メーカーのマーケティング力はいっそう高まり、小売業のバ
イイングパワーも圧倒的に強くなっています。卸売業はその板ばさみになっ
ている状態です。


このような環境の中で、卸売業が生き残っていくためには、新たな存在意
義を見出さなければなりません。その主要な選択肢は次の7つにまとめる
ことができます。


1.物流代行に特化

大手メーカーもしくは大手小売業の物流機能を代行する。


これまでの物流は、卸売業者が商品を顧客の店別にピッキングして配送
する「店別納品」が主流でした。このため、各店舗では店員が、受け取っ
た商品の検品作業を行い、さらに商品を棚に補充するため、店内を移動し
ながら商品を1アイテムずつ棚入れしていくという、非常に時間の要する
作業を行っていました。


しかし、ITの進歩のおかげで、手間ひまのかかる補充作業を大幅に短縮
することが可能になりました。


つまり、小売業各社の物流センターで商品を店舗の棚単位でひとまとめに
し、なおかつ、完全に商品個数を確認して、出荷情報を店舗に事前に送り
込んだ上で「棚別納品」することが可能となったからです。


この物流センターへは、卸は注文を受けた商品を全店分まとめて納品する
「一括物流」ですみます。店別の仕分けは必要ありません。センターで「総
量納品」された商品を、店別かつ「棚別」にピッキングすればいいのです。


しかし、この「一括物流」システムは、卸売業者に極めて重大な影響を及ぼ
すことになります。一括物流センターへの納品は全店の注文分をまとめて納
品する「総量納品」なので、メーカーによる納品も可能となるからです。


従って、大手小売業では、自社の物流センターへの納品は全店の注文分
をまとめた「総量納品」が可能となり、今後はメーカーによる直接納品が進
んでいくことが考えられます。


このような環境下で卸売業が生き残っていくためには、大手小売業に代わ
って、その物流機能を代行するサードパーティー・ロジスティクスとしての
選択肢が考えられます。


2.中小小売業に特化

自社で物流センターを保有できない中小小売業では、物流センターで各
店舗向けに棚別納品を行うことができません。


中小小売業が大手小売業に打ち勝つためには、棚別納品を可能にして手
間隙のかかる棚への補充作業を効率化しなければなりません。


その機能を代行すれば、卸売業の存在価値は高まります。そのためには
物流の効率上、中小小売業に対してフルラインで一括して商品を受注する
ことが必要です。


このように、中小企業に特化して生き残りをはかるという選択肢が存在しま
す。


3.リテールサポート

小売業者の商品管理・顧客管理などを支援したり、売れ筋商品の情報提
供や棚割提案、さらにPOPなど販促物の提供やキャンペーンなど販促企
画の提案などを行って、小売業者の業績向上をサポートすることです。


顧客にとってなくてはならない存在になることによって、取引の継続が可
能となります。


4.専門特化
大手業者が参入できないすき間市場に特化し、他社にない商品アイテム
の充実をはかることによって専門性を高める戦略です。


例えば、靴下、カーテン、ねじなどの商品に専門特化して独自の存在価
値を維持している卸売業者があります。


5.メーカー機能の保有
商品開発機能を強化し、自社のオリジナル商品を投入することで他社と
の差別化をはかる戦略です。


生産は自社で行わず、他社あるいは海外で行うこともできます。


6.消費者直結の販売体制の構築

卸売業者自ら小売業またはネット通販などによって消費者と直結した
ビジネスに参入するケースです。


ただし、既存の得意先との摩擦が生じ売上げが急減する危険性を回
避することが必要です。


7.大手の系列化に入る

大手卸売業者を核とした業界の再編が進む中、大手の系列化に入る
ことで、生き残りをはかる戦略です。

 

 

 

 

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お客様の心をつかむ販売力の強化法
6.小売業の販路政策 
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今回は小売業の流通政策の課題について説明をします。
 

市場に物があふれ容易に売れない時代には、消費者に一番近く、彼らの
ニーズを直接把握できる小売業が流通の中で力を増します。


市場で優位に立つためには、物をつくる力よりも売る力が重要になってきま
した。


しかし、小売業は消費者に最も近いということで、次のような課題をかかえ
ています。


1.移ろいやすい消費者ニーズを絶えず把握しなければならない

成熟化した社会では、必需品はほぼ消費者に行き渡っているため、生活に
潤いを与える娯楽品やサービスが消費の主流になってきました。


それに伴い消費者のニーズもめまぐるしく変化し、今日売れた商品・サービ
スが明日売れなくなる時代になりました。


小売業は、このように移ろいやすい消費者ニーズをいち早く捉え、さらにそ
の変化に素早く対応できなければなりません。


これからの小売業は、消費者ニーズを素早く読み取る「感性」が何よりも必
要です。


そしてそれに応じて、タイムリーに商品構成を組みなおし、レイアウトや陳
列方法に変化をつけることで、消費者の飽きを防がなければなりません。


消費者ニーズを読み取る感性が弱ければ、
売上の減少→デッドストックの増加→資金繰り難→廃業
という、最悪の結果を招くことになります。


2.仕入ルートの開拓

決まった仕入先から商品を購入しているだけでは消費者のニーズにかなっ
た商品を供給し続けることができません。


絶えず新たな仕入先を開拓し、魅力ある商品を消費者に供給しなければな
りません。


そのためには、国内だけでなく海外から商品を調達したり、インターネットを
利用してスピーディーに欲しい商品を見つけ出すなど、あらゆる手段を講じ
ることが必要です。


移ろいやすい消費者のニーズに応え続けるためには、仕入開拓が、消費
者ニーズを読み取る感性とともに、非常に重要になります。


3.メーカー機能の保有

卸売業と同様に、メーカー機能を有することによって、自社の独自性を発揮
することができます。


とりわけ、消費者ニーズをいち早く察知できる小売業の利点を商品開発に
活かせれば、流通の主導権を握ることが可能になります。


最近の小売業のプライベート・ブランド化(PB化)は、この観点から捉えるこ
とができます。


4.インターネットの利用

インターネットの普及率が高まる中、インターネットを通じた商品購入が日常
化し、その市場規模は年々拡大しています。


小売業者も消費者の購買ルートの変化に対応できるように、絶えずインター
ネット購買の状況に注目していなければなりません。


自らインターネットを利用した商品販売を行い、店舗販売とのシナジーを発揮
できるマーケティングノウハウを確立することも必要です。

 

 

 

 

 

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お客様の心をつかむ販売力の強化法
7.販促政策 
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商品・サービス開発を行い、効果的な販路を構築できたとしても、それだけ
で販売は完結しません。


商品の存在や効用をお客様に伝え、購買意欲を高めることによって、商品
を購入して頂いて初めて販売が完結します。


このように、お客様に受け入れられるために自社商品・サービスをアピール
する活動を販売促進(販促)といいます。販促はお客様との間のコニュニケ
ーション活動だといえます。


販促におけるコニュニケーション活動としては、次の4つの方法があります。
◆広告  ◆パブリシティ(注1) ◆人的販売  ◆狭義の販売促進(注2)


注1:パブリシティとは、商品を供給する企業ではなく、第三者のマスコミ等
が商品の特徴などをニュースとして取り上げ報道することや、報道内容その
もののことをいいます。第三者が取り上げてくれるため、商品に対するお客
様の信用は高まります。

注2:狭義の販売促進とは、広告・パブリシティ・人的販売以外の販促をい
います。対社内の販促として、セールス・マニュアルの作成、社内コンテスト
など、対顧客の販促として、棚割りやフロアレイアウト、インストア・プロモー
ションなどのリテールサポート、サンプリング、景品付販売などがあります。


販促はプル戦略とプッシュ戦略に大別できます。


プルとは「引く」という意味で、プル戦略は、マスコミ宣伝などにより直接お
客様に働きかけ、強い自社商品指向を作り出すことによって、お客様に指名
買いを促す戦略です。広告やパブリシティが代表例です。


一方、プッシュとは「押す」という意味で、プッシュ戦略は、人的販売等により
お客様に商品の利点を説明して購買を促す戦略です。


マーケティング・ミックスを選択する上で、商品政策、価格政策、販路政策は
マーケティングの骨格を形成するもので、戦略的要素が強く反映されます。


一方、販促政策は構築されたマーケティング戦略の骨組みの中で、いかに
日々、商品・サービスを販売していけばいいのかを決定するもので、戦術的
色彩が強いものといえます。


従って、日常のマーケティング活動では販促活動のウェイトが高くなり、営業
パーソンは、どうすれば自社商品・サービスが売れるのか、日々の販促活動
に頭を悩ませることになります。