テーマ別経営ノウハウ31

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お客様の心をつかむ販売力の強化法

32.ロールプレーイングの実践

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

「セールストークのコミュニケーションサイクル」は、以下のようになります。

 

 

共鳴 → 話題の掘り下げ → ニーズ確認 → 提案 → 自己説得  

 

 

コミュニケーションの基本サイクルが理解できれば、それを実践で応用

するために、ロールプレーイングで何回も練習しセールストークのレベ

ルアップをはからなければなりません。

 

 

1.基本トークの作成

 

まず、商品やサービスをお客様に提案するための「基本トーク」を考え

ましょう。これは、一人で考えるのではなく、営業パーソンがそれぞれ

のノウハウを出し合って、作成していくことが重要です。

 

 

例えば、主要商品の基本トークで必要な内容は次の通りです。

 

 

●商品コンセプトと差別化のポイント

セールストークで最も重要な項目です。

お客様が自社商品を買うことによって何のメリットがあるのか、他社商品

とどう違うのかを明確に伝えなければなりません。

 

商品コンセプトと差別化のポイントを分かり易く説明するためには、その

背景に豊富な商品知識が必要です。その知識をベースにして商品コンセプ

トを説明すれば、説得力が倍増します。

 

 

●購入時の障害(予想される反論)と対策

お客様からの反論を事前に予想して、それに対してどう応えればいいのか、

対策を考えておかなければなりません。

 

 

●その他のポイント

その他、お客様に伝えればインパクトのある事柄をまとめておきましょう。

 

例えば、商品が生まれたいきさつや、これまでの売れ行きなどの情報は、お

客様に興味をもって頂けます。

 

 

●効果的な質問

リアクタンスを生じさせることなく、お客様から話を引き出せるように、あ

らかじめ効果的な質問を考えておくと、本番でスムーズな会話を行うことが

できます。

 

 

基本トークは、「主要商品・サービス」の基本トークの他に、「会社案内の仕

方」や「お客様との雑談の仕方」、「情報の聞き出し方」などの基本トークも

作っておけば、お客様に対するセールストークのバリエーションが広がりま

す。

 

 

2.ロールプレーイングの実践

 

「セールストーク検討表」がまとまれば、いよいよロールプレーイングの実

施です。

 

 

ロールプレーイングをおこなう前に、「ロールプレーイング作戦シート」など

を使って、正しいコミュニケーションサイクルがまわせるように、事前に面

談場面をイメージしておくとよいと思います。

 

 

ここで、ロールプレーイングを徹底的に行なって、営業力の強化に成功した

会社の事例を紹介させていただきます。

 

 

*ロールプレーイングの反復徹底で高収益企業に変身

 

介護用の椅子やテーブルなどを販売するウェルネス企画(仮称)は、老人ホー

ムやその他の介護施設に自社商品を販売している会社です。この業界に参入す

る以前は、他の業界で業務を行っていたのですが、事業拡大のため成長産業へ

の参入を検討しておられました。

 

 

ある時、介護用の椅子やテーブル販売でトップを走る企業の情報を得、興味を

持ってその会社について調べられました。

 

 

すると非常に高収益で商品開発力に優れた会社でした。

 

 

ところが、さらに調べてみると、ほとんど営業らしい営業をしていなかったの

です。商品が優れていたため、営業活動をする必要がなかったのです。

 

 

一方、ウェルネス企画は営業力には自信がある会社です。同社の佐々原社長

(仮称)は直感的に、「この業界に参入しよう!」と決断されました。

 

 

この業界のトップ企業はほとんど営業を行っていない。もし、商品力が同レ

ベルであれば営業力に勝る自社に勝ち目はあると判断されたのです。

 

 

そこで、次のような戦略を考えられました。

 

 

参入当初は商品知識もないから、自社独自で商品開発を行っても勝ち目はない。

まずは、トップ企業の商品力を借りて、その企業が開発した商品に多少の改良

を加え販売しよう。

 

 

それなら商品力で差をつけられることはない。あとは営業力で徹底的に差をつけ

るため、わが社は老人ホームやその他の介護施設を熱心に訪問し、提案型の営業

を進めよう。

 

 

同時に、お客様のニーズを徹底的に収集し、商品開発につなげていけば、いずれ

商品力でもNo1になれるはずだ。

 

 

この戦略を実行するために、まず営業パーソンの提案力を徹底的に鍛えられまし

た。この時に非常に威力を発揮したのが、「ロールプレーイング」だったのです。

 

 

新たな商品を市場に投入する際には、必ず、その商品のベネフィットポイント

(この商品を購入するとどんなメリットがあるのか)を明確にし、それをわかり

やすく説明するためのセールストーク集をつくられました。

 

 

そのトーク集は、いろいろなケースを想定し、「お客様がこう言われたらこう応

答しよう」といった内容がきめ細かく書かれていました。

 

 

そして、そのトークをお客様の前でわかりやすく説明できるために、「ロールプ

レーイング」が実施されたのです。

 

 

「ロールプレーイング」は多くの会社で行われていますが、この会社の特徴は、

新製品を出す時に、ロールプレーイングの試験を行い、それにパスしなければそ

の商品を売ることができませんでした。

 

 

営業パーソンは、もちろん各自の売上目標を持っています。売上目標を達成する

ために新製品を売りたいと思っても、ロールプレーイングで合格しなければ、売

ることはできません。

 

 

そのため、営業パーソンはセールストークを必死で練習して、試験を受けます。

 

 

もし不合格になれば、毎朝早く出社して、上司がつきっきりで部下を指導します。

これが合格するまで続けられるのです。

 

 

このように、徹底してセールストークの訓練を行なったため、トークのレベルは

若手からベテランまでほとんど差がなくなりました。ほとんどの営業パーソンが

お客様の前で、非常にわかりやすい商品説明ができるとともに、状況に応じた的

確な提案も行えるようになったのです。

 

 

ライバル企業に比べて、熱心にお客様を訪問し、お客様との信頼関係を深めてい

くにしたがって、同社の売上は急上昇しました。

 

 

しかも、頻繁にお客様を訪問した結果、椅子の高さや、テーブルの形状など、実

際に使用した人でないとわからない情報をいろいろとお客様から聴けるようにな

りました。

 

 

それをすぐに商品開発に応用することによって、商品開発力においても他社をし

のぐようになりました。

 

 

今では、業界No1の高収益企業に成長し、毎年、10%以上の売上高に対する

経常利益率をあげておられます。

 

 

 

 

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

1.人事評価制度は経営のバックボーン

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いくらいい戦略を立てたり、マーケティングを行っても、社員の評価

制度がそれに対応していなければ、彼らのモチベーションは上がりま

せん。

 

 

会社の方針に従っていくら頑張っても評価されない、自分の給料がど

んな基準で決定されているのかわからない、そんな気持ちでは、社員

は納得して働くことができません。

 

 

業績が右肩上がりの時代は、人事制度が不明確でも給料は上がりまし

たから、まだ不満は押さえられました。しかし、業績が上がらなけれ

ば給料を上げることができない今日、明確な給与の決定基準がなけれ

ば、社員の不満は高まります。

 

 

社員に納得して働いてもらい、さらに彼らに生き甲斐を感じてもらう

ためには、公平かつ明確な賃金決定システムの導入が不可欠です。

 

 

ところで、人事評価表を作成する場合、どのような項目を盛り込むこ

とが必要になるでしょうか。

 

 

社員の立場から、経営側に明示してもらいたい項目は、次のようなも

のでしょう。

 

 

1.自分にはどんな仕事内容が要求されているのか。

2.その仕事内容を実施した場合、給料はいくらもらえるのか。

3.昇進・昇格するためには、何をしなければならないのか。

 

 

一方、経営者側では、社員に次のようなことを理解してもらいたい、

実行してもらいたいと思っています。

 

 

1.経営理念が社員に浸透し、彼らの行動指針となってもらいたい

2.会社の経営方針・経営計画を理解し、それに基づいた行動をと

  ってもらいたい

3.毎期の業績目標を達成してもらいたい

4.営業、総務等、部門別に要求する仕事内容を実践してもらいた

  い。

5.部長、課長等、役職にふさわしい仕事をしてもらいたい

 

 

人事評価制度は、これら双方の要求をお互いが納得のもと、評価表

という形で明文化した制度です。

 

 

そして、評価表の実行レベルによって社員を評価し、賃金、昇進・

昇格等の処遇を決します。

 

 

さらに、評価の内容に応じて、社員一人ひとりの今後の教育テーマ

が明確になることから、重要な教育ツールにもなります。

 

 

以上からも明らかなように、人事評価表は、次のような会社の根幹

にかかわる極めて重要な経営課題を実現するための経営ツールなの

です。

 

 

・経営理念の浸透

・経営方針、経営計画の実行

・業績目標の達成

・社員の賃金決定

・社員の昇進・昇格決定

・個々の社員の教育テーマの明確化

 

 

このように、人事評価表は会社経営のバックボーンになる重要なツ

ールです。

 

 

人事評価表が社員に理解され浸透すれば、これを通して会社の方針

を早期に徹底させることができます。

 

 

ところが、市販のノウハウ本を購入し、そこで紹介されている人事

評価表をほぼそのまま借用している会社をみかけます。

 

 

しかし、人事評価表はそれぞれの会社の状況に合った固有の制度で

あるべきです。その時々の会社固有の経営課題が評価項目に反映さ

れていることが必要です。

 

 

ノウハウ本の人事評価表は、どこの企業でも使えるような一般的な

項目しか記載されていません。経営者は人事評価表の策定およびそ

の効果的な運営について全力投球し、自社にあった人事評価制度を

創るべきです。

 

 

 

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

2.賃金の決定には業績のオープン化が前提

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人事評価制度は経営のバックボーンです。なぜなら、人事評価制度

は、次のような会社の根幹にかかわる極めて重要な経営課題を実

現するための経営ツールであるからです。

 

 

・経営理念の浸透

・経営方針、経営計画の実行

・業績目標の達成

・社員の賃金決定

・社員の昇進・昇格決定

・個々の社員の教育テーマの明確化

 

 

その中でも昨今は、競争がますます激化し、容易に業績を上げられ

なくなった状況では、人事評価のウェイトも業績評価に重きを置か

ざるを得なくなっています。

 

 

業績が上がらなければ、社員に給与として支払う原資はありません。

その時に、業績のオープン化ということが問題になります。

 

 

上場会社であれば、全社レベルの業績はオープンです。未上場企業の

場合でも、最近は業績をオープンにする会社が増えてきました。ただ、

売上高や粗利益額程度しかオープンにしていない会社も多くあります。

 

 

会社の業績とくに損益計算書をオープンにするかしないかは、経営者

が会社を「my company」とみているか、「our company」とみているか

の分水嶺です。

 

 

私は、会社を「幸福実現共同体」だと思っています。

 

 

なぜなら、経営者1人でできることなど、ほんのわずかなことです。

経営者と社員はお互い同士が協力し合って、自分1人ではできないこ

とを実現していくのが会社運営だと思います。

 

 

経営者は社員を自立させ、さらに彼と相互依存し合って、会社の難題

にチャレンジしていかなければなりません。社員は、経営者の仕事が

成功するために欠かせないパートナーであり、経営者の幸福を実現す

るための大切な協力者です。

 

 

もちろん逆もしかりで、経営者は社員が仕事を成功するために欠かせ

ないパートナーであり、社員の幸福を実現するための大切な協力者で

す。

 

 

このように相互依存し合って業績を創り上げていくのが会社だと思い

ます。ですから、会社は「幸福実現共同体」だと思います。

 

 

せっかく賃金制度を整備しても、社員が会社の業績を知らないのでは

意味がありません。

 

 

なぜなら、社員の方も、「ガンバって業績を上げて、給料やボーナス

をたくさんもらおう」という意識が必要です。そのためには、業績を

社員にオープンにすることが必要です。

 

 

会社が業績を上げ社員が満足できる賃金を得るためには、彼らが会社

の現状を正確に把握し、業績が目標通りにいっているのかいないのか、

もし、業績が低迷しているのなら、今、何をやらなければならないの

か、社員全員が共通認識をもたなければなりません。

 

 

従って、オープンにすべき業績も、売上高や粗利益額だけでなく、経

常利益までオープンにすべきです。しかも全社レベルだけでなく、部

門別レベルまでオープンにすべきです。なぜなら、経常利益がたくさ

ん残らなければ、社員に多くを還元することができないからです。

 

 

 

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

3.給与や賞与の決定方法

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給与や賞与の決定は通常、人事評価表を作成し、それに基づいて行われ

ます。

 

 

人事評価表にはいろいろなタイプがありますが、社員の仕事の内容や能

力を正しく評価するためには、営業や生産、総務など職種別に、しかも

社員のレベルに応じて1等級、2等級、3等級などランク分けして作成

すべきだと考えています。

 

 

給与を決める時は、人事評価表に基づいて査定を行います(査定の対象

期間は1年です)。その査定による点数を基準に、賃金テーブルを使用し

て賃金が決定されます。

 

 

 

賃金テーブル表

 

号棒    1等級      2等級      3等級      4等級

1      160,000   230,000   320,000   430,000

2      164,000   235,000   326,000   437,000

3      168,000   240,000   332,000   444,000

4      172,000   245,000   338,000   451,000

5      176,000   250,000   344,000   458,000

6      180,000   255,000   350,000   465,000

7      184,000   260,000   356,000   472,000

8      188,000   265,000   362,000   479,000

9      192,000   270,000   368,000   486,000

10    196,000   275,000   374,000   493,000

11    200,000   280,000   380,000   500,000

12    204,000   285,000   386,000   507,000

13    208,000   290,000   392,000   514,000

14    212,000   295,000   398,000   521,000

15    216,000   300,000   404,000   538,000

16    220,000   305,000   410,000   545,000

17    224,000   310,000   416,000   552,000

18    228,000   315,000   422,000   559,000

18    232,000   320,000   428,000   566,000

20    236,000   325,000   434,000   573,000

 

 

 

賃金テーブルを用いて給与を決定する方法は様々ありますが、私は、下記

のような評価区分表を作成し、給与を決定しています。

 

 

 

評価区分表

 

評価区分 評 価 点          給与の昇降号  賞与係数

S       80点以上                5        1.4

A       60点以上 80点未満  3        1.2

B       40点以上 60点未満  1        1.0

C       20点以上 40点未満  0        0.8

D       20点未満       −1                0.6

 

 

 

今、1等級で8号棒の給与をもらっている社員がいるとしましょう。賃金

テーブルを見ると、彼の給与は18万8千円です。

 

 

今回、人事評価表によって査定を行なったところ、点数は72点だったと

します。評価区分表に基づけば、評価はAです。A評価の場合、給与は3

号棒アップします。

 

 

再び賃金表にもどると、彼は8号棒から11号棒になりますから、給与は

20万円になります。

 

 

さらに、賞与の決定方式についても説明します。

 

 

この方式も様々な考え方がありますが、私は、賞与の支給総額をあらかじ

め決めておき、それを明確で公正なシステムによって配分する方式をとっ

ています。

 

 

賞与の支給総額をあらかじめ決めておくのは、人件費の総額コントロール

を適切に行い、人件費が経営を圧迫することにならないようにするためで

す。

 

 

今、2等級で7号棒の社員がいるとします。

 

 

彼は26万円の給与をもらっています。今回の賞与の査定が58点だった

としましょう(賞与の場合、年2回出るケースでは査定期間は6ヶ月です)。

 

 

彼はBランクになります。

 

 

この場合、賞与係数は1.0となっています。給与と賞与係数をもとに、

次のような計算式によって持点を計算します。

 

 

持点=給与額×賞与係数=26万円×1.0÷10000=26

 

 

彼の会社(あるいは事業部別に独立して賞与を支給している場合であれば

その事業部)では、総社員数が300名いたとします。

 

 

今回の賞与では、支給総額を1億8千万円に決定したとします。

 

 

上の計算式に従って、彼以外の社員もすべて査定した結果、持点合計が

9000点になったとします。

 

 

この場合、1点当りの賞与額を次のように計算します。

 

 

1点当りの賞与額=1億8千万円÷9000点=2万円

 

 

すると彼の場合の賞与額は、持点が26点ですから、

2万円×26点=52万円

となります。