テーマ別経営ノウハウ33

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

9.評価項目の評価ウェイトを決定する

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人事評価表は、等級や職種にふさわしい業務を明確にし、それをベー

スに評価項目、定義づけ、評価内容を決定します。

 

 

さらに、それらが決定すると、各評価項目の点数をウェイトづけしな

ければなりません。

 

 

ここで、サンプルの人事評価表を見て頂きましょう。サンプルは、店

舗販売の3等級の人事評価表です。

 

 

お手数をかけて申し訳ありませんが、下記のアドレスをクリックして、

人事評価表をダウンロードしていただけないでしょうか。

http://www.satis-corp.jp/article/14427375.html

 

 

サンプルの人事評価表では、「業績達成項目」「経営方針達成項目」「技

能・知識・情意項目」がそれぞれ百点満点になるように設計してありま

す。

 

 

例えば、「業績達成項目」では店舗売上高目標達成率が125%の場合、

評価ポイントが100になります。この時、ウェイトが20%になって

いますから、評価点数は、

100×0.2=20(点)

です。

 

 

また、「経営方針達成項目」では、例えばマーチャンダイジングの項目で

評価が4になれば、ウェイトが8ですから、評価点数は、

4×8=32(点)

になります。

 

 

このような計算方法に基づいて、各評価項目で満点をとれば、それぞれ

100点満点になるように設計しています。

 

 

さらに、「業績達成項目」「経営方針達成項目」「技能・知識・情意項目」

の項目間ウェイトづけは、人事評価表の一番下の、

「(@×50%)+(A×20%)+(B×30%)」

の欄に記載されています。

 

 

この場合、@は「業績達成項目」の点数で、100点であれば、

100×50%=50点

になります。

 

 

同様に、「経営方針達成項目」「技能・知識・情意項目」が100点のと

きは、それぞれ20点、30点になります。

 

 

これらを合計すると100点になります。

 

 

一般に、等級が上に行くに従って業績責任が重くなりますから、「業績

達成項目」のウェイトが高くなります。逆に等級が低ければ、基本を

しっかりマスターしなければなりませんから、「技能・知識・情意項目」

のウェイトが高くなります。

 

 

以上の作業が完了すれば、人事評価表はでき上がります。

 

 

 

 

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

10.人事評価は一次評価者がポイント

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人事評価表ができ上がれば、制度の運用段階に入ります。

 

 

人事評価制度の目的を整理すると、次の4点になります。

◆給与・賞与の公平・明確な決定

◆昇進・昇格の公平・明確な決定

◆経営方針・経営計画の早期浸透

◆社員個々人に応じた能力開発ポイントの明確化

 

 

これらの目的を実施するために、通常は次のような段階で人事評価は

実施されます。

 

1.人事評価

(1)本人評価

(2)上司評価

   ・一次評価

   ・二次評価(場合によっては三次以降もあり)

(3)評価者会議(人事評価の最終決定)

2.賃金、賞与の決定

3.昇進、昇格の決定

4.本人との面談

5.人事評価制度の見直し

 

 

以下では、人事評価制度運用にあたっての重点ポイントを説明します。

 

 

★人事評価は一次評価者がポイント

 

人事評価はまず本人が自己評価をし、それから上司の一次評価、二次

評価、・・・最後に評価者会議で最終決定が行われます。

 

 

本人評価を行うのは、本人の能力開発が第1目的です。本人の評価と

最終評価を比較して、どの項目をさらに伸ばし、どの項目を改善しな

ければならないのかを判断するための資料となります。

 

 

また上司評価は、一次は直属の上司、二次以降は課長、部長、事業部

長、社長などが行います。

 

 

評価は評価者会議で最終的に決定されます。メンバーは通常、一次、

二次、…の評価者および役員で構成します。

 

 

この評価者会議で最も重要な役割をはたすのは一次評価者です。

 

 

人事評価の最終決定は人事権を有する経営トップが行わなければなら

ないのですが、彼らは常時、被評価者に接しているわけではないので、

彼の状況を詳しく把握しているとは限りません。

 

 

従って、具体的な判断材料は一次評価者が提供しなければなりません。

 

 

評価者会議では、まず一次評価者がなぜそのような評価にしたのかを

報告することから始めます。特に、二次以降の評価と一次評価が異な

る項目は、評価の根拠を詳しく説明すべきです。

 

 

私は、評価者会議は評価者の部下指導能力、特に一次評価者の能力を

育成する上で最も重要な場であると考えています。

 

 

一次評価者の報告を聞けば、彼が普段、いかに部下に接しているか、

部下の状況をどれだけ具体的に把握しているかが一目瞭然になります。

 

 

一次評価者の側でも、評価者会議があるから、普段から部下の状況を

しっかりと把握しなければならないと言う意識が強く働きます。

 

 

このように、評価者会議の場で部下の状況を説明することによって、

一次評価者の部下育成能力は飛躍的に高まります。

 

 

以上の過程を経て、評価の最終決定がなされます。そして、決定後の

ステップとして、被評価者の能力開発ポイントを明確にしなければな

りません。

 

 

彼の長所と短所を抽出し、今後どの方向で伸ばせばいいのかを明らか

にするのです。

 

 

それを評価項目との関連で検討しますが、評価項目で重要な項目は評

価ウェイトが高いところです。従って、その項目を中心に被評価者の

伸ばすべきポイントを明確にしていきます。

 

 

また、被評価者本人の納得性を高めるためには、最終評価と本人評価

との間で点数の乖離があるところにも注意が必要です。本人評価が低

い場合は、本人に自信を持たせるようにしなければなりません。この

場合はあまり問題がありません。

 

 

問題は最終評価より本人評価の方が高い場合です。本人は良くできて

いると思っているのに、それより評価が低ければ不満を持ちます。本

人が納得できるように、根拠を明確にして評価が低くなった理由を説

明しなければなりません。

 

 

このように評価者会議は部下評価のための議論を通して、管理者の部

下育成力を養う最適の場であります。あわせて、社員個々人に応じた

能力開発ポイントを明確にする最適の場でもあるのです。

 

 

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経営のバックボーンとなる人事評価制度

11.本人との面談は能力開発が目的

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人事評価が最終決定され、給与、賞与、昇進・昇格が決まれば、その

結果を本人に知らせなければなりません。

 

 

その場が本人との面談です。本人面談のおもな目的は、本人の能力開

発です。

 

 

よく、「企業は人なり」といいます。会社によっては教育に力をいれ、

社員を外部研修に参加させたり、コンサルタントに依頼して社内研修

を実施したりします。

 

 

しかし、社員一人ひとりの能力に応じて教育を行っている企業はほれ

ほど多くはないと思います。それを行なうためには、社員一人ひとり

の能力開発ポイントを明確にし、それに基づいて社員を教育しなけれ

ばなりません。

 

 

それが人事評価後の本人との面談と、その後のOJTを中心とした社

員教育です。

 

 

本人との面談の場では、次期の査定期間までの育成テーマを話し合い

ます。

 

 

面談では、面談者は評価者会議の代表者として面談しなければなりま

せん。評価者会議での決定事項に関し、本人が納得できるようにわか

りやすく説明し、次期の教育テーマに従って本人が能力開発を進めら

れるように、彼のモチベーションを高めなければなりません。

 

 

面談がまずければ逆に上司に対する不満が残り、本人のモチベーショ

ンを下げてしまいます。

 

 

面談で一番難しいのは、評価点数が低く本人評価との乖離が大きい時

です。面談者は評価者会議の代表として面談しているのですから、た

とえ評価が低くても、会議での内容を正確に伝え、本人に理解しても

らわなければなりません。

 

 

面談者によっては、自分だけがいい子になって、自分はいい点数をつ

けたのだが、誰々さんが低い点数をつけた、などといってしまう時も

あります。

 

 

そうなれば、低い点数をつけた評価者は一生恨まれることになります。

そして、面談は被評価者のモチベーションアップという目的と、ほど

遠い結果になってしまいます。

 

 

面談者は本人のモチベーションをアップさせ、彼の持っている能力を

向上させるために、細心の注意をもって面談に望まなければなりませ

ん。

 

 

面談に際しては、以下の点に注意が必要です。

 

 

1.威圧的な態度をとり、上司の説教になってしまう

【対策】

 ●部下に発言機会を多く持たせ、彼の言い分をよく聴く

 ●部下と対等な気持ちで臨む

 ●すぐに話の腰を折らない

 ●「・・・だから出来なかった」ではなく、「・・・するためにはどうすれ

  ばいいか」というスタンスで話を進める

 

 

2.上司の憶測・推測・思い込み・偏見により根拠のない説明となって

  しまう

【対策】

 ●評価の根拠となる事実を資料等にもとづき、納得いくように説明す

  る

 

 

3.結論があいまい

【対策】

 ●本人の能力開発ポイントを明確にし、これから何をすべきか、上司

  として何をフォローするのかを明らかにする

 

 

4.面談で何を話したのか忘れてしまう

【対策】

 ●面談の記録を必ず残す

 

 

 

人事評価表が出来上がり、部下と面談をして、それで終わりではもちろ

んありません。

 

 

制度の毎年の見直しが必要です。

 

 

会社によっては、長年同じ人事評価表を使用しているところがあります。

 

 

しかし、人事評価制度の目的は、給与、賞与、昇進・昇格基準を明確にす

るだけでなく、時代に合った評価項目を設定することにより、経営方針や

経営計画の早期浸透を図り、社員の能力開発ポイントを明確にするなど、

経営上、重要な施策を実現するためにあります。

 

 

従って、経営環境が年々激しく変化する今日では、人事評価表は毎年見直

しをしていかなければなりません。

 

 

この見直しも、人事評価表策定プロジェクトで行います。

 

 

ただし、メンバーはずっと同じメンバーでやるのではなく、見直しごとに

一部メンバーを入れ替えるべきです。なるべく多くの社員が制度作成に参

加し、制度に対する理解を深めてもらうためです。